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喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。絵ログ、お知らせ、日常など。最下部にカテゴリー・タグ一覧あり。

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2024年5月10日 この範囲を時系列順で読む

「大脱走」番外編1話「ゲイシャ・ボーイ」今週末あたりに上げられるかも。頑張ります。

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性愛の陥穽

 アジア・太平洋戦争での船の大量喪失、という問題が語られる時によくよく厳しく問いただされるのは日本海軍の海上護衛思想の薄さや、その戦争の損失で鮮明に露呈した日本国家の計画性のなさです。あるいはあまたの華やかで剛健な大型船舶たちの沈没、あるいは軍人による船員の扱いの荒さは悲壮感を伴ってわたしたちの心を打ちます。戦場を主戦場としなかった人間たちの哀しい戦争の運命がそこにはある。多くの国籍の人々を貨客船に乗せた友情、見るも鮮やかなディナー、洗練された文化が一緒くたに灰色の塗装に化けること。絹ではなく軍需品を運ぶということ。殺意と機銃掃射。にんげんの深いかなしみとくるしみ。
 けれど感情で見うしなってならないのは時代を俯瞰する冷静さなのかもしれません。戦後八十年からの、その俯瞰ができる立場を、擬人化という存在に投影して描いた物語が「大脱走」でした。
 わたしがあの時代を俯瞰したときに捉えた感覚をよりいっそう複雑にしたのは、森崎和江が解題するような侵略、生活上の心情的な侵略行為という考えでした。彼女がからゆさきさんの主体性を語るときに言及するアジアの民衆との肌のあわせよう、アジアの民衆と彼女らで茶碗一杯の飯を奪い合うような関係。外国へ行き現地人を武器で殺し殺されることだけが戦争であり侵略ではない、という自責に駆られる森崎和江は植民地朝鮮生まれの女性でした。朝鮮の空は高くて美しい、空気が湿らず澄んでいると彼女が想うとき、背負ってくれたオモニの髪が唇についたことを思い出すときに、森崎和江はその愛情こそが他者を侵略していたという事実をひたと見つめます。戦時中に日本に帰ってきて、故郷であった朝鮮(植民地を故郷、と呼ぶこと自体が侵略的心情なのですが)に戦後帰れなくなった森崎和江は痛感します。その郷愁や愛そのものが罪だったということを。
 森崎和江は関釜連絡船で日本へやってきたのでした。
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 のちのこと、老いたおキミがある日、渡り鳥の大群が飛来したのをみて、
「ああっ、この鳥!うちが朝鮮に売られていくとき、玄界灘で逢うたんよ。うちの肩にとまったんよ」と叫び、その夜眠らなかった。
 (森崎和江『からゆきさん 異国に売られた少女たち』)


 のちに娼婦の経験での心的外傷により精神病院で亡くなるおキミは、養女に出されからゆきとして大陸へと渡りました。神戸から貨物船に乗り、門司から玄界灘をとおり朝鮮へ。たくさんの連雀が九州へと渡っていくのが見えたらしい。鳥たちはおキミとは真逆の方向へ飛んだ。
 からゆきたちと船とは切っても切れない縁です。航空機も鉄道も挟まる余地などない。二十世紀に海をわたるのですから。船に隠されて密航したからゆきたちは上手くいかなければ船底で、箱の中で、樽の中で、石炭庫内で死ぬことになります。上手くいっても海外で娼婦となるだけなのですが。日本船はおおかたは三十人ほどを乗せ、その利益は大きく、また密航の検査をするには石炭夫や火夫の気性は荒く、そうしてこれらの犯罪は報道されても止まらず、なによりも女たち自身が貧困からの脱出を夢見ていました。人買いから見せられた夢というものが真実だったかは別としてですが。それに誘拐によっても多くの少女たちがあつめられました。日本郵船の伏木丸では隠れた石炭庫に隣り合う火炉に燃やされて、多くの女たちが死んだらしい。からゆきになるまえに。この時、一八九〇年。
 森崎和江が言うようなからゆきさんたちが行った心的侵略というものがあったとしたら、それらを運んだ船や船会社をどう捉えるべきだろう。彼――というものが擬人化創作では存在するのだけど――はその事象どう思っていたのでしょう。船によって運ばれたからゆきさんらはシンガポールに入港した大日本帝国海軍の艦艇に乗っていた軍人たちを好いひととして迎えていました。その威信は世界的なもので日本からとおい地にいるからゆきさんたちは誇らしく、また頼もしく思っていたことでしょう。この三者三様の関係をどう捉えたらいいのかと考えておりました。


#「大脱走」(企業擬人化)

随筆・エッセイ企業・組織/〃擬人化文章(全て)

「大脱走」は冊子にした時に解説ページを作ればいいか~と考えていたけど、やはり早めにサイトにも解説を書くか。
つい物語で伝えられなかった事柄や物語の余白を解説で補うことへの逡巡があったけど、そうも言ってられない。もともと「大脱走」はあえて不親切な面があったし……。

2024年5月9日 この範囲を時系列順で読む

いいね!

2024年5月7日 この範囲を時系列順で読む

そもそも私のtumblrは見づらくないか?と思ったのでテーマを変えました。
一番良いのは個人サイトで「リブログのないtumblr」のようなものを構築できることなんだけど……。探してみようかな。

tumblrですが、記載してあるように一番更新頻度が高いです。
とはいえ皆さんに観て頂けているのかは謎……。
もう少し動線をよくするか、tumblrとは別にここにも絵を上げるかしたいです。

2024年5月6日 この範囲を時系列順で読む

『見る・知る・考える 明治日本の産業革命遺産: 日本と世界をつなぐ世界遺産』読了した
トピック「三菱と長崎の近現代史」が最高!!三菱と長崎の長い蜜月と共犯の関係ですね……!!

2024年5月5日 この範囲を時系列順で読む

いや、忘れているだけでこの情報は大昔に接したし、話題にもしたことがあるな…

カレン・テイ・ヤマシタ「ぶらじる丸(抄)」が「すばる」2008年7月号に掲載されているって本当……?気になる

『現代詩手帖 2019年8月号』h ttp://www.shichosha.co.jp/gendaishitecho/item_2384.html

「『現代詩手帖 2019年8月号』がめっぽう面白い」という話をSNSでしようと思ったけれど、もうどのSNSですればいいのかわからない 苦しい Twitterを返せ

『明治日本の産業革命遺産』読んでいます。
鉄、船、運ぶこと、石炭、炭鉱、働く人、行く人、来る人、その生業で世界が回っているということ……。みたいなものを企業擬人化で描けたら良いなとは……。
『阿姑とからゆきさん』もそろそろ読了しそうだ。読了したい。

感想

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2024年5月4日 この範囲を時系列順で読む

おや、今日(5/4)にwaveboxをぱちぱちしてくださった方がいらっしゃる ありがとうございます がんばりました

御社が、僚船が、人間が、そして筆者の私が浅間まるに感情を拗らせている漫画「大脱走」

「大脱走」番外編を追加しました。
力尽きた。後日加筆修正します。

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2024年5月3日 この範囲を時系列順で読む

企業・組織/〃擬人化

「大脱走」番外編2話、そのうち完成しそうだ

2024年4月30日 この範囲を時系列順で読む

国会図書館デジタルコレクション……愛した。

2024年4月26日 この範囲を時系列順で読む

『移民船から世界をみる』を読んでいると、公娼制とか黒白の世紀とか、私の幻影じゃないんだって、ほんとうにそういう世界だったんだって、再確認できる 嬉しいね

『移民船から世界をみる』再読してたけど、やっぱ「大脱走」悪くないじゃん、運んでいたことの業という感じで……いや人様の業を勝手に断罪する私の姿勢については、厳しく問うべきだけど…

waveboxぱちぱちありがとうございます みてます

2024年4月23日 この範囲を時系列順で読む

「大脱走」番外編2、進捗だめです

2024年4月20日 この範囲を時系列順で読む

「大脱走」番外編2、進捗いまいちです

2024年4月16日 この範囲を時系列順で読む

月刊誌「海員」とか読めばいいのかなとは…

「空気」「雰囲気」ばかりは世相や生活から知るしかない

とはいえ「史料がない」わけではないので、コツコツやる

こうの史代先生?いや森崎和江先生?いや両方か?が当時の新聞をひたすら読みに図書館に通った、と言っていたがそれに近い 「1491年に太平洋戦争が始まった」に収まらない行間ですよね

擬人化で歴史を描くことで、考証的な何かが決定的に違っていても「擬人化創作なので!!」で逃げることにしていて、それは最終手段であり逃げの姿勢であり、敗走のみっともない手段だが、この「逃げ道」の確保をしていることで自信を持って腹をくくって創作を世に送り出している節はある

「考証的な何か」は具体的に言えば、今は「知っている資料があまりに不足していて、当事者の感じていた空気が感じ取れない」所かな…
海運の人たちがどうしていて何を考えていたのか、軍隊と比べるといまいちわからない

2024年4月14日 この範囲を時系列順で読む

お元気ですか。お手紙、丁寧に有難う。「創作の対象が背景に歴史の文脈を付帯させている時に、加害への直視と批判意識こそが重要である」とのお言葉を頂戴しました。「愛情とは直視であり瞠目でも眩しさにくらむ盲目でもない」ことを弁えるべきであり、時間という私達の特権が対象と距離を生んでいることを有難く享受するのが、いちばん誠実な方法かもしれません。

2024年4月13日 この範囲を時系列順で読む

歴史家を悩ませるのは、私達が叙述の対象としている人物が幽霊のように帰ってきて、書いたものに対して感想を述べること/彼らからすれば私達は抑圧者であり拷問者、死刑執行人である/彼らからすれば私達が若造だという事実が傷を負わせる上に侮辱されている/この問題は避ける術は無い/歴史は地図の作成と同じく事実の"描写"とはならない/事実そのものではなく少しそれに近づいているだけ/当人からすれば奇妙なものだ

/しかし時間が経つと私達の描写は、彼らがその中で生きていた出来事の記憶と競合し、入り込み、取って代わる/という意味で事実に"なる"/歴史的知識は出来事に加わった人の知識を沈める/歴史家は過去に対して、効果的に、息苦しいほど自己を押し付ける/過去を読みやすくし、過去を解放されない牢獄へ閉じこめる/歴史家に悪意はない/これは誰もが記憶に対し行うから、実際の記憶が過去の描写への飲まれていく経験がある/逸話は繰り返され磨かれる、一枚の写真が時間・場所・人物を思い出す全てとなる/過去そのものとなる

それは暗い面だが唯一の面ではない/抑圧と同時に歴史家は過去を解放する/過去を伝える人、読みやすくする人、再生する人を求めているから/歴史を作った人は歴史を記録する人が己を好意的に扱うという希望を持つ/彼らを忘却から救い出す

『歴史の風景』個人的ハイライト

感想

2024年4月12日 この範囲を時系列順で読む

コミティア、セーフでした。出ます。有難い……。

2024年4月11日 この範囲を時系列順で読む

もう少しコンスタントに本を読んでいかないと……

2024年4月10日 この範囲を時系列順で読む

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2024年4月9日 この範囲を時系列順で読む

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今回のコミティア応募数、すごいですね
「そろそろ当落出るなあ…落選は書類不備だけかなw」とか舐めながらメールを確認して、意識が飛びそうになりました
「今回は4500サークルの募集に対し、5100弱の申込をいただきました」とのことです どうすんだ…

歴史の絵画修復、という気持ちはある
視覚的な美術の再構成
そして、修復であって実際に存在した歴史ではないという事実も自省し…

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