朝焼けが戦場の海照らしをり
#傾艦俳句 「朝焼け」…日の出間際に東方の海や空が赤く染まること。[夏の季語]*hide
「秘すれば花よ貨客船は」時には軍需品すら抱えて
#傾艦短歌 *hide
銃弾を浴びせる者にも受ける者にも平等に降る白い粉雪 
#感想返歌 『大砲とスタンプ9』*hide
掲げ持つ女神の肖像 戦場でいつも残るは死にたがりばかり 
#感想返歌 『大砲とスタンプ8』*hide
ナボコフのアーダは地獄の淡き色(老いとは一種の麻酔であろう)
うつくしき死に魅入られた人びとの嘆きの声は誘いの音色
扇島歳時記黒し黒々し日本の歴史は責め苦の歴史
海を往く冒険エレキテ島に見る特設監視艇の亡霊
ゴールデンカムイは狭間の人びとの姿、群像、大闘争
奴隷船の歴史の記す世界史はまさに「人間」、人らしき業
手垢つくセカンドハンドの時代生くそれぞれ生きた過去を抱え
されどなおこの世界の片隅にいる、生きている、我は地に立つ
海軍の「末裔」「残党」「生き残り」どう呼ばれても凌ぐ波濤
(船底のように濁りし眼して、)きれいな海ね、(海なお深く)
戦争は女の顔をしていない勝利の後も戦は続く
前見据え銃座のウルナ測距するあなたは英雄永遠の価値
山川出版社版日本史の帯に書かれる「2・朝鮮史」
終戦のローレライ歌え歌えよ俺達は孤独に揺られ鉄の棺桶
人間がかくあれと言い造られた椿井文書うつくしき夢
売られゆくからゆきさんらも日の丸を背負い誇れば帝國の民
(うつくしい装飾品のように言う)「病は富よ、」治りませんように
百貨店ワルツ艶やか婀娜らしさ乙女の瞳は深き宝石
百代の過客は戦地を進軍し奥のほそ道ふたたびの先
ひととある豪華客船の文化史はすこしの彩、あまたの黒白
映画プロップ・グラフィックス映像の神は細部に宿りをり
自死、病死、飢死、溺死、衰弱死。あるいは「処置」さる日本軍兵士
ほほえみの女王の肖像我は過去、栄誉の昔、誇らしい笑み
感情も、殺意も空では蒸発し(ただ無が広がる)スカイ・クロラ
人間の蒔く種芽吹き草が生えそこに抱かれる人間の土地
戦争はしゃぶるように語るもの「高き誉れは、」(ザハロフの晩餐)
自衛隊協力映画は〝戦後〟たる矛盾の苦悩、大義此処なし
神はいる神様はいる暁の宇品の港に神様はいる
(母からの唯一の富は自己犠牲なのか?)わたしの幸せな結婚
想像の共同体は幾度も「我ら」を夢見て憎み刺し合い
一に勝つ。二に勝ち続け、勝利する。君も王者だ!ゲームの王国
生き死には空から降って来たものが決めた夕凪の街 桜の国
人と人、等しく価値ある命だと言えるか?戦中派不戦日記
飛び立ったふうせん爆弾の行きつく地高い城の男はありて
人間の洗練されない情念が息づく神さまたちの季節は
と、語ったと彼女は語ったのです、とアウステルリッツは語ったという
神さまの貨物は手と手が手渡して人に落としたちいさな命
帝国の植物園の世紀あり(うつくしき庭は統治のあかし)
幾度も砂丘律読めば日焼けして背が折れ無になる、わが血肉になる
うつくしき世紀を照らす光ありニュクスの角灯栄えた時代
「外地人」「戸籍」「帝国」「国語」「家」(濁りは鈍く)外地巡礼
動きゆく現代思想の20年雑誌の隅で自省を重ね
西洋のオーケストラは黒船と共に訪れ鬼子の歌に
バーナード嬢曰く。「読書は素晴らしいこと」「骨折れること」「大事ごと」
船の親随筆 船を拵えて愛する娘を無心に愛でる
旗を上げ戦う日本漁船たち、無数に漂う、捨て石として
移民の世界史わたしたち政治戦争富のため陸に散らばり暮らしをり
青春の音は戦火と共にありギター・ブギー・シャッフルと
メイドインアビス アビスが生んだのは限りなき価値ただ一つの死
黒々と塗られた歴史悲しき死ダークツーリズム我らの歴史

#本棚短歌 本棚短歌とは=書名を折り入れて詠んだ短歌のこと。私が勝手に作っている。*hide
歳時記を開いて季語を探すのがすごくめんどい、短歌に限る
#短歌 俳句は嫌だ…俳句は嫌だ…*hide
「護衛艦」その名を持ちつ戦闘機載せて秋空果ては遥けし
(ヘリ空母だったはずだがヘリじゃないものらも載せる)甲板広く
発艦す固定翼機はうつくしき放物線を描いてはゆく
#短歌 航空母艦「いずも」*hide
吃音の男は足を引き摺りてБеоградよりBerlinへ行く
花嫁の幸福は常にそこにあり二十年で失くしたものが
戦争がなかったらする事、一つしかない(詩人の墓に花手向く)
#二次創作短歌 『アンダーグラウンド』ベオグラードよりベルリンへ*hide

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