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喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。絵ログ、お知らせ、日常など。

No.1071

 メンサーが贈ってくれた靴は踵がすり減っている。それでもはき続けている。メンサーの好意を、あなたは擦りきれるまではき続ける。そのことで示せる愛情がある、と思う。あなたは慰安ユニットだからそう思う。あなたは与えられたものを喜ぶこと、あるいは喜んでいるように示すことを求められている。でもあなたはメンサーのことが好きで、素直に贈り物を喜んでいる。けれど時々、その喜びという感情すら設計に従っているだけの、ユニットのただの反応状態なのではないか、とすこしだけ恐くなる。

#「空想傾星」(『マーダーボット・ダイアリー』)

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