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喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。絵ログ、お知らせ、日常など。

No.902

津島佑子『あまりに野蛮な』
 日本、植民地台湾、大型客船、産児制限、喪った子どもを忘れられない母親と面倒なので忘れたい父親、絶対に避妊したい妻と嫌いなコンドームをつけたくない夫、もう絶対に失いたくない女、良妻賢母、植民地の日本人町、原住民の首狩り、台湾人と共振する美世、自身をミーチャと呼び、ミーチャの姪はリーリーと称して伯母と共振しようとし、子どもを失ったことの理由を探る…これが植民地主義の闇鍋ですか
 →『あまりに野蛮な』美世ことミーチャ、おそらく現在に生まれてある程度の学と箔をつけさせてもらえれば、一人で自活できたであろうたくましい、おおらかな女性だったんだろうな~という点がつらい
 →どうにかあの時代の「成功」である結婚にこぎつけたのに、外地の台湾の日本人街では精神的にも経済的にも夫にすがるしか無く、子どもを失ったことで精神的均衡をも失い、場所の精神の逃げ場所もなく、万引きという行為で精神的打開を求めて全てにおいて破滅する女性……
 →美世、ミーチャ、もしかして現代ならどこかの大学でも出て、身分的な箔をつけて、夫にではなく働いている会社に金を貰って、自活して、趣味を嗜んで、結婚するか結婚しなくても一人で生きていけるたくましい女性だった、密かに人びとと連帯と抵抗の思想を共有していたかもしれなかった、それなのに……。

感想

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