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喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。絵ログ、お知らせ、日常など。最下部にカテゴリー・タグ一覧あり。

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「沖縄」

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No.2611

「集団自決」と呼ばれる日本軍強制による沖縄住民の死に、皇民化の極限的暴力の発現を見出し、その出来事の基底に、「敵の捕虜になって辱めをうけるくらいなら家族の手にかかって殺されたほうが良い」という純潔(純血)主義的なジェンダー的強迫が働いていたことを明らかにするこの書が告するのは、現在の私たちの身体をも貫くレイプ暴力と皇民化とが組織化するジェンダー政治力学そのものであると言えるだろう。この問いかけにおいて、宮城の書は、沖縄という特殊性に閉じられることのない遍在性において、現在の私たちがまた「集団自決」を反復しそして性的支配の暴力に絡め取られていくかもしれぬ危機をこそ逆照射しているのである。求められているのは、「集団自決」という出来事のなかに今に繋がる国民国家主義の暴力の作動を感知していくことであり、同時に、そうした暴力に、性的支配という欲望が分離されることなく寄り添っていることを認識していくことであるに違いない。

/『沖縄・問いを立てる3 攪乱する島 ジェンダー的視点』

たとえば、愛しあうが故に殺し殺されていった人々に、皇民化そして軍国主義的イデオロギーの強制的帰結として、性=生の「収奪」というジェンダー暴力を発動させてしまったのが、ほかならぬ「集団自決」であったとは考えられないだろうか。「米軍に捕らえられ陵辱されるくらいなら親しい者に殺されたほうが良い」という強迫が皇民化と日本軍強制という文脈のなかで島の人々のなかに内面化され「集団自決」が引き起こされていくとき、そこに、ジェンダー的強迫観念が作用していたことは確かなように思われる。

/『(同)』

感想引用

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