喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。兼ログ置き場(新しめの作品はここに掲載してあります)。

No.261

黒人米兵と日本女性をめぐる日本小説の話に触れている、リービ英雄「日本語の勝利」(『日本語の勝利/アイデンティティーズ』収録)。
その米兵の喋る、妙に横文字ばかりの「まるで歌舞伎町のチンピラのような」言葉への所感が良い。
"小説の米兵が言う「ファッキン」という形容詞が、劇画的な日本語のヤクザことばの中に吸収されてしまうと、それが本来持っている批評性が薄れて、ニューヨークで生きのびるための武器である「悪いことば」の刃がにぶり、ニューヨークの黒人が常に鎧っている痛烈で苦々しい知性が殺されてしまう"……。

感想