会社が出けるときけば喜うで、そりゃあよかこつ。会社が出くれば、ここらあたりもみやこになるにちがいなか。会社も地も持たんじゃったばかりに、天草あたりは、昔は唐天竺までも出かけて、生まれた村にも、もどりつけずに、そこで死んで。会社さえ出けとれば、わが一代には字の一字も見えんとでござすけん、ああいう所にゃはいりゃあならんが、会社の太うなるにつれて世の中ひらけて、子の時代には学校にゆくごとになって、あるいは孫の時代にゃ、会社ゆきが、わしの子孫からも出てこんともかぎらん。わしどもは、畠も田んぼも持たんとでござすけん、あるいは子孫の代にゃ会社の世話になるかもしれん。そのように思うとりやしたばい。 /「海石」 『苦海浄土』 #「渺渺録」(企業擬人化) 引用企業・組織/〃擬人化 2025/08/18
/「海石」 『苦海浄土』
#「渺渺録」(企業擬人化)