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喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。絵ログ、お知らせ、日常など。最下部にカテゴリー・タグ一覧あり。

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No.2219

「その後一年ばかりしてまた作業を始めましたが、それは、日本とロシアとの間の空気が険悪化してきたからではなかったかと思います。……折からの日露関係の悪化が刺激となって、大きな仕掛けで昼夜兼行でどしどし工場が拡張されていきました」と宿老・田中熊吉が回顧(『八幡製鉄所五十年誌』)しているように、軍事的要請によって建設された製鉄所は、その経済的破綻にもかかわらず、侵略的目的を貫徹するために再開された。「日露戦争は官営八幡製鉄所に対し、もはや従前のように製鉄事業経営の可否や収益などを云々することを許さず、一意軍国の急に応ずるべく軍需への対応を至上命令化した」(『八幡製鉄所八十年史・総合誌』)。
 一九一〇年(明治四十三年)の日韓併合によって、朝鮮の殷栗(ウンユル)載寧(チェーニョン)などの鉄山もまた八幡製鉄所の所管となった。軍事力強化のための製鉄所は、増強された軍事力を背景に、アジア侵略の中心となって、日本帝国主義をささえてきたのである。
 この年、汽缶場は一三六基、五〇〇本の林立した煙突が昼夜の別なく黒煙を吐いた。洞海湾を前面に構えて、中国、朝鮮と対峙している製鉄所を、田中熊吉はこう表現している。
「日本という巨大な軍艦が、もうもうと黒煙をはき、アジアに向かって突進する。全く頼もしい姿なのだ」(『朝日新聞』西部本社版”八幡製鉄物語”)。

/「ゴールドラッシュの末路」第二章 鉄の流れ 第二部 死に絶えた風景 『鎌田慧セレクション 現代の記録 鋼鉄産業の闇』p209
#「渺渺録」(企業擬人化)

企業・組織/〃擬人化

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