喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。兼ログ置き場(新しめの作品はここに掲載してあります)。

No.155

映画「風立ちぬ」
・「風立ちぬ」の最終部の煉獄の野原、で二郎が飛行機の墓場を仰ぎ見上げるシーン あまりに良く、私のなかで戦時期の演出の美の極致なんだけど その「良さ」がなんとも言語化しづらい
・私があのシーンを作ったら、最後は野原を下るだけになってしまうと思う あの瞬間の二郎の気持ち(=狂おしい未練)に思いが行き届かないので あとあれ天国を見上げながら地獄の方へ降りていくということかしら(そういう意味でもあの野原は煉獄)
・『風立ちぬ』のカプローニと二郎少年の夢での邂逅、『アンダーグラウンド』の死んだはずの者たちの宴のフィナーレ、『タイタニック』のローズを迎える沈んだはずの乗客たちとジャック そういう「この世のどこでもない余白の世界」が大好き

感想