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	No.1397
- 「渺渺録」(企業擬人化)(273)
 - 『マーダーボット・ダイアリー』(41)
 - おふねニュース(37)
 - 「ノスタルジア 標準語批判序説」(二次創作)(23)
 - 「大脱走」(企業擬人化)(23)
 - 書籍情報(19)
 - SNSの投稿(17)
 - 『ハリー・ポッター』(17)
 - 「海にありて思うもの」(艦船擬人化)(16)
 - 実況:初読『天冥の標』(16)
 - 展示会情報(15)
 - 読んでる(15)
 - 読了(14)
 - きになる(13)
 - 企業・組織(11)
 - 船舶装飾考(10)
 - 三菱重工さん関係のロケット(8)
 - 御注文(8)
 - 「蛇道の蛇」(一次創作)(8)
 - 日本郵船歴史博物館再開館の軌跡(7)
 - 本(6)
 - 「時代の横顔」(企業・組織擬人化)(6)
 - 「空想傾星」(『マーダーボット・ダイアリー』)(6)
 - 「病院船の顛狂室」(艦船擬人化)(5)
 - 「徴用船の収支決算」(一次創作)(5)
 - おふね(5)
 - 国会図書館にない本(3)
 - の部分(3)
 - 感想『日本郵船戦時船史』(3)
 - 模写(2)
 - 漫画(2)
 - 映画(2)
 - 入手(2)
 - 『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(2)
 - 「『見果てぬ海 「越境」する船舶たちの文学』」(艦船擬人化)(2)
 - 「人間たちのはなし」(艦船擬人化)(2)
 - 『青春鉄道』(2)
 - 展示(1)
 - 展示会(1)
 - ハリー・ポッター(1)
 - 映像(1)
 - 「テクニカラー」/「白黒に濡れて」(艦船擬人化)(1)
 - 「かれら深き波底より」(一次創作)(1)
 - マーダーボット・ダイアリー(1)
 
熊谷空襲というほぼ唯一の経験を、埼玉はまるで不良が軽犯罪を隠すように、自虐的な傷か自慢か何かとして胸に秘めていた。江戸時代を越えればいっそう薄くなる年表が示すのは、埼玉は近代の参加者にはなれなかった事実だった。もちろん出征する兵士を見送った。還って来たあまたの死があった。自分の身の上を走り去っていった多くの人びとがいた。でもそれで終わりだった。
それを軽微な損失と誇ればいいのか、別のところの(それこそ帝都東京などでの)末端の歯車だったと自分を責めればいいのかわからない。ただわかるのは、自分が主体となった戦争経験は熊谷空襲だったこと。埼玉は戦場ではなかった。南洋へ大陸へ送り出す港も海も持たなかった。でも、空襲は戦争のひとかけらで、戦争は近代の申し子だったから、戦争と埼玉とが交差したあの瞬間だけは、埼玉も近代の参加者となった。