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喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。絵ログ、お知らせ、日常など。

No.1039

#「時代の横顔」(企業・組織擬人化)

 なんか……なん、か、……。あれなんです、もしあたしが、あたしがです、あたしが。海軍さんじゃなくて、あたしが海軍さんの時代に行ってたらどうなってたんでしょうかね。って。思ったことが、何度か……。あっ、た。
 だってこの状況、というか二日前に終わったあの状況、ぜんぶおかしいですよね!?なんだ、日本海軍を拾ったって。そんなもんそこらへんに落ちてるか、普通……って。だからもっとおかしいことが起きてもおかしくないねって。思ったことが、あった。あたしがあの時代に落ちてるってか、あたしが海軍さんに拾われるのか。でも、やべーなって。それ、やばそうですよね。
 そもそもあたしが海軍さんより優位に立ってたのは、ここが現代の日本で、海軍さんになんの権力もなかったからなんですよ。そこが戦争中の日本で、海軍さんに権力があったらどうすんだろ、どうなってたんだろ、って……思った。思ってた。
 あれなんですかね、クーラーの権利とかあたしにないし。まあクーラー代もあっち持ちなんだろうけど。「これだから女は」とか言われちゃうんだろうか。あたしはたまたまティーバッグを買って持ってて。ぜんぶ奪われちゃうんだろうか。って……。
 もしかして……あたしも……軍艦にされちゃう…………?の、かなあ……なんであたしが航空母艦に?……とか考えて。でよくよく考えたら彼の軍艦はべつに人間が姿を変えられて造られてるわけじゃないしね!?って。まあ、そういう危うい関係の上にあたしたちは立っていたわけですよ。たまたまあたしが家主だっただけで。あたしは海軍さんが八八艦隊をフルコンプしたかったとかミッドウェーのヒヤリハットとかを一人で語ってる中で、ま~それを綺麗に無視し続けました。今から思えば、あたしはそういうのの悔しさを共感しちゃいけなかったし、共感しないように頑張ったことに自分を褒めてやりたいっすね。だって、一緒に感動したら負けですよね、そんなの。そんなのあたしが戦争中にタイムトリップしてるのと一緒じゃないですか。海軍さんのあのうつくしさは一瞬だったんですよ。だからまあしかたないんですよ。一緒に肩組んで感情移入までしたら終わりでしょ。戦艦土佐のくす玉が割れなかったって、すこしだけ悲しかったって、海軍さんが呟いていて……だから一体なんなんですかね?あたしたちはそんなことに共鳴しないでちゃんと割れるくす玉を作らなきゃなんないんすよ。それが歴史の学びってやつでしょ。知らないけど。

小説

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