喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。兼ログ置き場(新しめの作品はここに掲載してあります)。

No.676

森崎和江は炭鉱の人間のよく言う「地獄」について言及しているけど、あの時代の半強制半奴隷じみた仕事につきもので、彼らが自らを言い表すワードとしての「地獄」があったのかーと興味深くなる あと遊女か
その意味で結核も炭鉱も遊郭もどんどん現在から去っていく中で、あの「地獄」という言葉をどうやって地続きにするのだろう
たぶん「蟹工船」の言う地獄は遊女や坑夫が自らの状況を指していう特定の共通の認識としてある「地獄」であって、天国や楽な状態や極楽の対義語としてのなんとなくの、現代の意味においての地獄ではない

ということを考えると、彼らが言う文脈での「地獄」を踏襲できないならいっそなくしてしまうのもアリかもしれない。今に言う「地獄」は天国や楽な状態や極楽の対義語でしかなくなっているのが現状なので。

感想