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喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。絵ログ、お知らせ、日常など。最下部にカテゴリー・タグ一覧あり。

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No.1555

ぼくらの父祖たちにとって国家はどうだったか?それは幻想としての国家像の暗闇であればある程、顕在化する形として女たちの狂気の挿話をとりあげることができる。昭和の十年代、素封家に育った女が、その夫は都市に就職したけれども、女が海を渡るのは当時村では禁忌だった。年月が立つうちに、ついに思いあまって磯の波打際にひざまづいている女の姿が村の誰れそれの眼にも頻繁にみえるようになった。いわば古いしきたりと禁忌によって素封家に生まれた女なのだが、「時間」の推移によって対幻想が危機にさらされるとき素封家の女は美しくしかも近よりがたい狂気と化したのだ。狂気によって孤島の波打際は都市につながる幻想であり、幻想としての村共同体が解体してあと、一種の可能性として思いみられる共同体である。

/『情念の力学』
※沖縄について

引用

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