No.1040
- 「大脱走」(企業擬人化)(20)
- 「渺渺録」(企業擬人化)(13)
- 「海にありて思うもの」(艦船擬人化)(13)
- 『マーダーボット・ダイアリー』(10)
- おふねニュース(8)
- 「蛇道の蛇」(一次創作)(8)
- 「空想傾星」(『マーダーボット・ダイアリー』)(6)
- 企業・組織(6)
- 実況:初読『天冥の標』(5)
- 「時代の横顔」(企業・組織擬人化)(5)
- 今読んでる(5)
- 感想『日本郵船戦時船史』(3)
- きになる(2)
- 『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(2)
- 「『見果てぬ海 「越境」する船舶たちの文学』」(艦船擬人化)(2)
- 「人間たちのはなし」(艦船擬人化)(2)
- 『青春鉄道』(2)
- 読了(1)
- 「テクニカラー」/「白黒に濡れて」(艦船擬人化)(1)
- 「かれら深き波底より」(一次創作)(1)
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……ねえ、日本海軍さん。あたしにはできる。あたしにはあなたの正義を否定してあげることができる。でも、あなたが頑張って守りたかったものがなんなのか、一緒に考えてあげることもできる。あなたのなにが正しくて、なにが過ちだったのか、ということを理解してあげられる。あなたが八十年前に誰からもされなかったし、してもられなかった……距離感、というもの、を、あたし、は、保つことができる。できる。できる。できる……。二十歳ちょいのふざけた女から。普通の人間から。普通の距離で。ツッコミでも、ハグでも、何でも。ほんとうはそれができたんですよ。……できたはずなんだ。でも、その時にはできなかった。彼の語ることに反論も肯定もできないまま、もやもやしたまま、戦争みたいにクーラーの主導権を奪いあうことしかできなかった。あたしは彼のことをなにも知らなかったから。一つ屋根のした共にあったあたしたちは、日本海軍のことも軍艦のことも語るすべなく、ただ生活するしかなかった。でも、生活をするという人間の……当たり前の生き方が……あれが彼が滅んだあと、……の、なにかひとつの救いになって、い、ればいいと思いました。あたしは話はできなかったけれど、……この国に空襲とかさ、ないじゃん?今のあたしと彼に、爆弾は落ちてこなかった。……彼は八十年後の戦争がなくなったこの国の今を、どう思ったのかなぁ。