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No.1363
- 「渺渺録」(企業擬人化)(55)
- 『マーダーボット・ダイアリー』(22)
- 「大脱走」(企業擬人化)(20)
- 実況:初読『天冥の標』(16)
- 「海にありて思うもの」(艦船擬人化)(13)
- おふねニュース(10)
- 読んでる(8)
- 「蛇道の蛇」(一次創作)(8)
- 「時代の横顔」(企業・組織擬人化)(6)
- 「空想傾星」(『マーダーボット・ダイアリー』)(6)
- 企業・組織(6)
- きになる(3)
- 感想『日本郵船戦時船史』(3)
- 読了(2)
- 『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』(2)
- 「『見果てぬ海 「越境」する船舶たちの文学』」(艦船擬人化)(2)
- 「人間たちのはなし」(艦船擬人化)(2)
- 『青春鉄道』(2)
- 御注文(1)
- 入手(1)
- 「テクニカラー」/「白黒に濡れて」(艦船擬人化)(1)
- 「かれら深き波底より」(一次創作)(1)
ぼくがまだ海という言葉を覚えていなかったころ、遠くにあるあのうつくしいものを指差して「あれはなに?」と兄に尋ねたことがある。「あのきらきらきらした、とびはねているきれいなものはなんていうの」
兄は「ふねのこと?」と答えた。
「ふね?」
「うん。ぼくたちと違って海に浮かんでるやつでしょ?」
兄はそう笑った。「海」と呟き、それをじっと見つめたぼくのことなんてつゆ知らず、兄は愉快そうに笑ながら小さく歌いはじめた。
「うーみーは、ひろいーな、おおきーいーなー……って、もしかして『とびはねてるきれいなもの』って海のこと?」兄はおどろいてぼくに尋ねた。ぼくは”海”という言葉に魅入られ、呆然とただそれを眺めていた。「海……」
「……うん。綺麗でしょ。海って言うんだよ。でも、その綺麗な水面はぼくたちの生きる場所じゃないから」