喫水はまだ甘くまだ浅くある

津崎のメモ帳です。兼ログ置き場(新しめの作品はここに掲載してあります)。

No.283, No.282, No.281, No.280, No.279, No.278, No.2777件]

『黒衣の短歌史』に月刊短歌誌を百種として一冊に五百首、一年で約六十万首、陽の目を見ない短歌がその倍以上とする、二百万首の歌が日本にある…ところで日本という国はこの歌を千年余り作り続けてきた…仮に一二〇〇年として二十四億首の三十一文字だ…ぞっとする…精神狂うぜ…とか書いている短歌誌編集長の中井英夫、なんなんだ。

感想

『日本語の勝利/アイデンティティーズ』収録作「万葉青年の告白」
リービ英雄が『万葉集』の小論文を発表しようとした時に「海外の人間には、歌は無理だろう」と言われたことが忘れられず、『万葉集』で全米図書賞をとったリービがその頃のあまり上品ではなかった賞授賞式に呼ばれた時にスピーチは短くしろと言われ、またリービ自身も今のアメリカは難しい話を聞きたがらないのだ、と積極的に諦めた時、ふと「歌は無理だろう」というあの言葉を思い出し、7分間スピーチをした挙句に、英訳された和歌を品のない観衆の前で長々と朗読した話。あまりに良い。
またこの作家は/この読者は(女は、男は、若い子は、アメリカ人は、日本人は…)的「侮り」に引っ張られる人間なので、自戒となって身に迫る話でもある。

感想

壁打ちDiscordのリンクを「INFO」に貼りました。上手く貼れてなかったらwaveboxからご報告ください(切実に…)(自分では確かめようがないので)。試行なのでこれからどうなるかはわかりません。
面識ある・なしに関わらずどなたでもお気軽にどうぞ。連投しているのに人少杉だとむしろ悲しいので……。交流ではなく壁打ちなのでお気軽に……。すでに「あなたは誰ですか?」という方も多いので……。
Discord、プロフィールからその方が持っているサーバーが見れると面白いと思うのだけど、まあそういうものではないのだろう。

講談社文芸文庫のkindleセールが始まった!!昨日の発言が"振り"みたいに……

結局、若者たちを特攻という運命に赴かせてしまったものは、彼らの美的価値の希求、つまり彼らのロマン主義と理想主義であったのではなかろうか。彼らは読書を通じて自分たちの世界観と美的価値を作り上げた。もし政府が、軍国主義国家の政治的ナショナリズムをあからさまに正面切って提示していれば、若者たちはこれに反抗することができたであろう。

/『ねじ曲げられた桜 上』

感想,引用

"特攻隊員は桜の花に美的価値を感じていた、それが愛国心に通じていることを書き残していた、しかし彼らはこういった象徴が政府のイデオロギーに組み込まれていたことに気づかなかったのではないか、若者らは国への献身に美的価値を見出していたが、国家がそれを利用していたことに気づかなかった"…

感想

『ねじ曲げられた桜 上』に、「ファシズム」という言葉は歴史学と政治学の分野以外では、あまりに「はやり」すぎて、レヴィ=ストロースのいう「浮いている記号」(フローティング・シグニファイヤー。無数の意味付けが可能な記号)となってしまった、と書かれていて
"流行りすぎて""浮いている記号になってしまった"は同人オタクにもあるあるあ~るなんだけど、その事象がこのように形容されているのを初めて見て、快哉を叫んでしまった

感想