架空反戦記

一引きの航跡のために我はあり戦火も息も波を揺らして
二引描く旗を見よ我婀娜らしき笑みを浮かべて名を名乗るとき
三度引く汽笛を鳴らして後進は今の時世にできるはずなく
四は忌言葉、私たち縁起を担ぎ感情の儘に流され民族の船
五度は引く亡き僚船の声々を無視して尚も船団は往く
*info#傾艦短歌 「航海の回数」*hide

船舶は国土の延長　美しく装えばまたお国の誉れ
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浮き沈みしつつ無様に足掻きたりカルネアデスの船板の船
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愛國の文字鮮やかに映える船特設巡洋艦蛮勇な姿
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愛することは支配すること使役するふねを思へば愛おしき吾子
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往くことを征くと言えるが花のうち重油(あぶら)の無き浜白く眩く
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そもそもが植民地たり我が船は伏目で頷き航跡を往く
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「秘すれば花よ貨客船は」船底の濁る空気も身分差別も
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覗き込む静かな海に滲み出る黄金時代のナルシシズムが
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地図上の仮想敵国ピンで留め遥か微かに轟くスーザ
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