- FA『マーダーボット・ダイアリー』(9)
- おやしお(初代)(6)
- 艦船擬人化「ぼくの小さな神さま」(5)
- ペリヘリオン号(5)
- マーダーボット(5)
- こくりゅう(4)
- なるしお(3)
- シーフレンド7(3)
- 愛国丸(3)
- 氷川丸(3)
- ずいりゅう(3)
- ミンゴ/くろしお(初代)(2)
- くろしお(初代)(2)
- そうりゅう(2)
- 共同運輸会社(1)
- 郵便汽船三菱会社(1)
- ワフー(1)
- おおしお(1)
- ちはや(初代)(1)
- FA「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」(1)
- 日本郵船(1)
- 新田丸/冲鷹(1)
- 春日丸/大鷹(1)
- 橘丸(1)
- グラシン(1)
- 護国丸(1)
- 報国丸(1)
- エンタープライズ(1)
- ぶら志る丸/ぶらじる丸(1)
- アイリス(1)
- 平安丸(1)
- 高雄(1)
- うんりゅう(1)
- くろしお(2代目)(1)
- 浅間丸(1)
No.31
*
警備ユニットは思った。ワームホールが宙域をひどく矮小にしてしまっただけで、宇宙はもっと広いものなんじゃあないか。それを実感できていないんじゃあないか。宇宙の濃紺の深さを忘れるなかれ、その恐怖を忘れることなかれ、と己に説いたのは元弊社の人間だった(初めにあったのはいつも保険会社の人間たちの言葉だった)。
なにより保険会社の軛に繋がれ繋がれたまま惑星から惑星を移動しているうちに、世界はただただ狭いものになっていた。本当の「初め」も知らなかった。記憶消去後の「初め」を生き、キュービクルの中で仕事から次の仕事を待ち、ドラマの空想の世界に浸り、どんどん薄く、小さく、狭くなっていくちっぽけな世界の打開はふと訪れた。警備ユニットは今でも、あのクレーターの砂のざらつきと、頬に滴ったバーラドワジの鮮血の生ぬるさを覚えている。
#FA『マーダーボット・ダイアリー』
#マーダーボット