針の山殺意尖らせ発射するヘッジホッグで艦を殺戮
#傾艦短歌 *hide
「桜木の下には死体が埋まってる」下を無視する一枚上で
#傾艦短歌 *hide
真珠湾開幕前のざわめきを調律音が低く掻切り
調律音如くが低く鳴り響くエンジンの音、九九艦爆
積年の恨みぞと言う彼ら振る帽が靡いて緞帳揺らし
#傾艦短歌 「海軍さんのサーカス」*hide
我が記す戦闘詳報示すのは既に戻れぬ黄金時代
#傾艦短歌 特設艦*hide
航空機らを果てに送った航空母艦はひとり孤独と戦っている
#傾艦短歌 *hide
復員兵海に飛び降り大脱走ひとのなき病院船の顛狂室
#傾艦短歌 病院船*hide
撃沈された愛娘らを呼ぶ声を聞く地獄の火の海に身を焼きながら
#傾艦短歌 *hide
沈没地、赤バツ付けて付けつづけ真っ赤な南洋ブーケンビリア
#傾艦短歌 *hide
海防艦「まいったなこりゃ」
「電探を集めて早し潜水艦」艦の軽口、船らの軽侮
輸送船「沈められに行くようなものよ」
頼りない艦の護衛を頼りにす 護衛は苦手、戦を望み
連合艦隊の偉い人「戦艦での砲撃戦こそが帝国海軍の華!」
「護衛戦?護衛とは何、艦艇は戦う務めがある」といい

輸送船「やる気はあるのかしら」
灰色の誇りはあるかお前には、思わず尋ぬが艦知らんぷり
偉くない海護総隊の偉い人「護衛艦も船舶も何もかも足りないよ」
稼働率、稼働率だよ輸送には 船団細切れ護衛少なし
偉くない海護総隊の下っ端「軍令部の連中は何も分かっとらん!」
石油があること運ぶこととは別問題!そう叫んでは海上護衛

海防艦「ちょっちまずくない?」
「シーレーン」馴染みなかった今もないとりあえず守る海上護衛
……昭和十八年。四二六隻。一、六六八、〇八六総トン。
この海を渡り往く時願うのは魚雷の不発、当たるは覚悟
輸送船「……ねえ、」
私達心中しているみたいね、と船言う言葉告白みたい

海防艦「……それは嫌だな」
私はさエスコートしてあげられない敵潜悪漢無力諸共
…… 昭和十九年。一〇〇九隻。三、六九四、〇二六総トン。
 沈めたり沈められたり一枚の下へと続く海上護衛
亜米利加の潜水艦とその魚雷の質が上がる一方、我が兵装は
「電探が少し悪いのかしらね」と船の微妙な気遣い辛い

海防艦「輸送船らは捨て石ではありません!」
「私達の海は交わらない。その方がいい、我らは違う」
乗組員たち「いつでも生きた心地がしない」
なんとなくご飯食べたい生きている実感湧けばなんでもいいよ
輸送船「あなたのこと、面白くて嫌いじゃなかったわよー」
守るのはいつでも苦手 敵潜は船を屑とすそれを見るだけ

海防艦「………」
穴二つ 艦を呪いし船たちも護衛に走った艦も諸共
その戦場、血の湧く英雄などおらず軽侮の眼差し海上護衛

#傾艦短歌 海防艦と輸送船の百合*hide
「つまり特設監視艇は洋上の目であり敵を発見することが最大の任務であり、敵と戦闘を期待することは論外であった。つまり言い換えれば特設監視艇は敵発見のための「捨て駒」的な存在であったともいえ、つまり戦闘力を持たない特設監視艇が敵を発見し、「敵発見」の無電を発信した時はその特設監視艇の最後と考えねばならなかったのである」(『特設艦船入門』)

「南下するんだってさあ」魚はいるのかそんな処に
「そうだとも、我は海の子、いつだって海は優しい」空、寒々として
この国の海往き思う「俺はまだ日本で死ねるか、ここは祖国か」
敵機発見敵空母一隻見ユワレ敵ト交戦中の打電を最後に消息を絶つ
一万の血潮荒波呑まれたが今も捨石、無名の小船
#傾艦短歌 特設監視艇*hide

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