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映画
エミール・クストリッツァ「アンダーグラウンド」

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#ユーゴスラビア #セルビア #世界史 #第二次世界大戦

 ワ…「アンダーグラウンド」と10年付き合ってるってこと?びっくりする。

 初めて観たのはTSUTAYAで借りたDVDで、でした。当時ユーゴスラビアが気になっていたので、おすすめ文を見て借りた記憶があります。
 もうユーゴスラビアに興味あります!とか関係ないよね。映画としての一つの到達点なので……。
 普通のノートパソコンで観ました。初見では上手く呑み込めなかった部分もありました。あとからじわじわ来ましたね。「なんかとにかくすごかった」所見の感想はそんな感じです。

 現在クストリッツァ監督は親ロシア・親プーチン派として非難を浴びています。
 Xの日本の反応を見て大変興味深かったのは「『アンダーグラウンド』であんなに力強く戦争の愚かさを描いたクストリッツァ監督がなぜ…」という投稿がいくつか見受けられたことでした。
「完全版」を観ればわかるように、クストリッツァ監督のロシアへの憧憬はすでに元からすさまじいものでしたし、それは西側陣営への嫌悪と表裏一体なのだと私は感じています。
 そして「アンダーグラウンド」で描かれていたのは戦争の愚かさではなく人間の愚かさであり、その人間の愚かさは戦争という装置によって映えたものでした。むしろ戦争は物語を揺さぶるアクシデントとして積極的に導入されていた感があります。
 あとちょいちょい西側(第二次世界大戦でいえば連合国側)や国連・ユニセフなどへの皮肉(「ドイツの空襲が終わればつぎは連合国だ」という台詞や赤十字旗が何の役にも立っていない戦場の描写など)を見ると、なんとなくあの当時監督がキレられて監督がキレて引退宣言をした背景が見えてくるでしょう。

「アンダーグラウンド」を非政治的な戦争寓話としてしか観れない私たちはすでに遠くに来てしまっていて、じつは私たちはあの小島を見送る側ではなく、小島に乗って見送られて行った側なのではないかと時折感じます。
 
追伸・ユーゴスラビア周辺の歴史に詳しくないため、あくまで偏見にすら近いただの所感です。

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