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企業・組織擬人化
#八幡製鉄所
擬人化は人間と一緒に汗水垂らして働くタイプ(9割)と働かないタイプ(1割)がいる設定だけど、こちらは働かない方
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日本で最初のこの官営製鉄所は、もともと、筑豊炭田という国内最大の産炭地を至近距離にひかえているという立地条件のゆえに、北九州の八幡村に建設されたものだった。日清戦争での勝利から二年ののちに操業を開始したこの製鉄所は、数年後の日露戦争を可能とし、さらにその後あいつぐ対外戦争のいわば産屋となった。ここで生産される鉄が、財閥資本の重工業によってあらゆる兵器や艦船や戦車や車輌に加工された。製鉄に使う石炭も、軍需工場の燃料となる石炭も、財閥資本が経営する炭鉱から、やはりこれら財閥資本が大きなシェアを占める船舶会社の輸送船で、これらの財閥によって系列化された荷役システムを介して、運搬された。
/『石炭の文学史』

ソウルから来日した旧友は、北九州市におりたって、駅名――八幡――を見あげた時、ちいさな叫びをあげました。その声で反射的に私は思いだしました。それは二十数年まえの感覚であって、八幡・鉄の都・軍需……とつながるなまなましい現実です。植民地にもその名は威圧的につたわっていました。「ここがあのヤハタですね」と彼はいい「韓国では今の若い人もヤハタの名はたいてい知っています」と続けました。
/「北九州労働者風景」『ははのくにとの幻想婚』