2021年11月の投稿(時系列順)[223件](10ページ目)
2021年11月04日 この範囲を新しい順で読む
一引きの航跡のために我はあり戦火も息も波を揺らして
二引描く旗を見よ我婀娜らしき笑みを浮かべて名を名乗るとき
三度引く汽笛を鳴らして後進は今の時世にできるはずなく
四は忌言葉、私たち縁起を担ぎ感情の儘に流され民族の船
五度は引く亡き僚船の声々を無視して尚も船団は往く
#傾艦短歌 「航海の回数」
二引描く旗を見よ我婀娜らしき笑みを浮かべて名を名乗るとき
三度引く汽笛を鳴らして後進は今の時世にできるはずなく
四は忌言葉、私たち縁起を担ぎ感情の儘に流され民族の船
五度は引く亡き僚船の声々を無視して尚も船団は往く
#傾艦短歌 「航海の回数」
人間のように笑いて人ならぬことを自分で憐れむときに (浅間丸)
強くあることは犯されぬこと我が「領土」固持し犯すは彼らの領域 (新田丸)
感傷も情熱もなく潔く艀のように静止する我 (八幡丸)
得ることのなき栄光を胸に秘めただ粛々と波を切るとき (春日丸)
選ばれし者と思う屠られるよりも屠るを幸福として (報国丸)
愚直であることは素晴らしきこと逡巡も悔いも全てを亡きものとして (愛国丸)
うつくしき我を見よ我この姿誇りに思い艦の世をゆく (護国丸)
一輪の花を野端に見つけゆく海でも同じ世は変わりなく (あるぜんちな丸)
忘れたい忘れたくない逡巡が飽和に至る淡き現在 (氷川丸)
#傾艦短歌 「幸福について」
強くあることは犯されぬこと我が「領土」固持し犯すは彼らの領域 (新田丸)
感傷も情熱もなく潔く艀のように静止する我 (八幡丸)
得ることのなき栄光を胸に秘めただ粛々と波を切るとき (春日丸)
選ばれし者と思う屠られるよりも屠るを幸福として (報国丸)
愚直であることは素晴らしきこと逡巡も悔いも全てを亡きものとして (愛国丸)
うつくしき我を見よ我この姿誇りに思い艦の世をゆく (護国丸)
一輪の花を野端に見つけゆく海でも同じ世は変わりなく (あるぜんちな丸)
忘れたい忘れたくない逡巡が飽和に至る淡き現在 (氷川丸)
#傾艦短歌 「幸福について」
「聖書には書かれていたわ『信ずことやめたものから沈んでいく』と」 #傾艦短歌
船舶は国土の延長 うつくしき貨物を運べば共犯者なり #傾艦短歌
シアトルへ航路を往けば美しき異国のゆりかご海色浅く #傾艦短歌
戦標船「平時を夢見る、うつくしい物を運ぶの」戦禍ではなく #傾艦短歌
「嫁ぐとは凱旋なき出征」海軍に行けと言われりゃ三歩引き #傾艦短歌
軍艦のさだめを逃れるために乗る逃避の船の果てなき旅路
#傾艦短歌 金剛
そうそう!きょうだいの話でしたね。話始めるととりとめないですが、例えばそう、何回か、きょうだいで銀座に行きました。パーラーや、買い物とか。なんだか、人間になれたみたいでした。あの子たち、進水したときよりいつの間にか私よりずっと大きくなってたんですよ。軍服を着ているのを毎日見ていると気づかなかったのですが。比叡も霧島も背が高いし、榛名だって女にしては背が高い、おまけに彼らは茶髪で私は金髪ときたから、とても目立つんです。だから、行けたのは数回でした。大半は、もっと静かなところや、艦体の近くの港町でお茶を濁したり……。もったいないことをしたわ。私たち、寿命が短いと決まっているのだから、いくらだって羽目を外してよかったはずなんです。でも、だめなの。だって、私たち、普通の人間でも容貌でもなかったし、なによりそう、軍艦なんですもの。(沈黙)……比叡や霧島と腕を組みながらふと、そんなこと思ったこともなかったのになぜか思いました。なんででしょう……。ああ、このまま、洋装のまま汽車に乗って、どこか遠くへ行けたらなあ……って。軍艦に戻りたくない。切符を買って、どこか遠くへ。それこそイギリスまで行ってもよかったんです。海を渡って。ふねに乗るんです、軍艦が(笑う)、軍艦であることをやめるために……。きょうだいでずうっといるために。私たちまだ二十と数よ。人間なら七十は生きられるわ。戦争で沈むなんて馬鹿げてる。私たちはまだそのとき二十と数だった……私たちはまだ……私たち…………(いい続けてふいにやめる、沈黙)
#傾艦短歌 金剛
そうそう!きょうだいの話でしたね。話始めるととりとめないですが、例えばそう、何回か、きょうだいで銀座に行きました。パーラーや、買い物とか。なんだか、人間になれたみたいでした。あの子たち、進水したときよりいつの間にか私よりずっと大きくなってたんですよ。軍服を着ているのを毎日見ていると気づかなかったのですが。比叡も霧島も背が高いし、榛名だって女にしては背が高い、おまけに彼らは茶髪で私は金髪ときたから、とても目立つんです。だから、行けたのは数回でした。大半は、もっと静かなところや、艦体の近くの港町でお茶を濁したり……。もったいないことをしたわ。私たち、寿命が短いと決まっているのだから、いくらだって羽目を外してよかったはずなんです。でも、だめなの。だって、私たち、普通の人間でも容貌でもなかったし、なによりそう、軍艦なんですもの。(沈黙)……比叡や霧島と腕を組みながらふと、そんなこと思ったこともなかったのになぜか思いました。なんででしょう……。ああ、このまま、洋装のまま汽車に乗って、どこか遠くへ行けたらなあ……って。軍艦に戻りたくない。切符を買って、どこか遠くへ。それこそイギリスまで行ってもよかったんです。海を渡って。ふねに乗るんです、軍艦が(笑う)、軍艦であることをやめるために……。きょうだいでずうっといるために。私たちまだ二十と数よ。人間なら七十は生きられるわ。戦争で沈むなんて馬鹿げてる。私たちはまだそのとき二十と数だった……私たちはまだ……私たち…………(いい続けてふいにやめる、沈黙)
「ふねを我が墓場とするは死ぬ者の特権だろう、」(まるで、心中) #傾艦短歌
戦争は世の常人の常なりとふねらも同じ人間の愛し子 #傾艦短歌
我もまた沈みゆくのだ、群青を身に浴びながら滅び逝くのだ、 #傾艦短歌
くれないの花を咲かせてふねたちは神話になりて人に語られ #傾艦短歌